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排他的行動



要約
 

 
チュウヒが行う排他的行動は、相手がチュウヒである場合(種内)とチュウヒ以外の種類である場合(種間)とでは、その様子が異なる。種内での排他的行動は、主に「追跡飛行」「攻撃行動」「足下ろし」「警戒音」に分けられる。種間への排他的行動の多くは「攻撃行動」であり、「足下ろし」は見られない。




種内での排他的行動

 チュウヒ間での排他的行動は、繁殖期には同性間で多く見られ、越冬期には性別に関係なく起きる傾向があるようである。ただし繁殖期については、繁殖生態の都合からオスの方がメスよりも飛行時間や飛行距離が長いため、単に確率的な要因でオス同士(同性同士)での排他的行動が見かけ上多くなっているだけの可能性もある。
 縄張りが隣接する個体との排他的行動は、時間が経過しても排他的行動の頻度が激減することはないようで、隣接する個体とは常に対立状態の拮抗が続いているようである。

 排他的行動の種類は、主に以下のように分けられる。

1.追跡飛行・追い出し

 侵入者が来ると、飛び立ってなわばりから出るまで追跡する(平野 2005)接近してきた相手に対して、距離を置きながら相手の後ろをついて飛ぶだけの穏やかなものもあれば、高速で飛行してモビングに移行することもある。
 また、相手が止まっている樹上や地上に着地し、先に止まっていた相手を追い出すこともある。この場合は追跡飛行を異なり、相手を追い出した後にさらに追跡する行動は行わなず、樹上や地上に止まったままでいる。

 筆者の観察では、追跡飛行は越冬期に最もよく見られる排他的行動である。一方、繁殖期には個体密度が低下するせいもあってか、越冬期ほど頻繁には見かけない。

    (後ろの個体が、前の個体を追飛中)


2.攻撃行動

 攻撃する側が足を突き出して相手に迫り、場合によっては受け手側も反転して足を突き出し抵抗する。疑似的な攻撃であり、実際に接触することはまれである。しかし繁殖期には、他のつがいの巣に接近し、オス同士が空中戦を演じることがある。その際、2羽のオスは帆翔して相手より高く上昇しては、相手に接近し、足で蹴り合うが、争いはすぐに収まり、それぞれのテリトリーへと引き上げる(彦坂 1984)また、足爪で互いを掴み合う行動も、少数例が観察されている(NHK「ダーウィンが来た」参照)。
 青森県での観察では、繁殖期にチュウヒ間で攻撃行動が観察されることはまれだった(多田 未発表)一方、越冬期には、越冬地に飛来してから日数の経っていない個体間ほど、攻撃行動が見られやすい傾向がある。
 なお、ヨーロッパチュウヒでは、実際に足爪でお互いを掴みあって地上に落ちていくのが稀に観察される(Clarke 1995)また、このような行動について、アフリカチュウヒでは最も攻撃的な行動であり、とりわけ同性内や、侵入者が縄張りの奥深くまで侵入してきた際に見られるといわれている(Simmons 2010)


3.足下ろし

 接近してきた相手に近づき、飛びながら両足をだらりとぶら下げる行動である。追い出そうとした側だけがすることもあれば、両者がすることもある。この行動を示した後には、互いにその場から離れていくことが多い。場合によっては攻撃行動の直後に見られることもある。
 繁殖期には、採餌飛行中に接近したオス同士が、この足下ろしをしていたのを観察している(多田 未発表)。越冬期には、年明けごろから発生頻度が高くなる傾向が見られ、互いに越冬地で過ごした期間が長い個体間で多く見られる傾向がある。
 なお、ヨーロッパチュウヒでは、足下ろし行動(leg lowering)はテリトリーの境界を保つときに使われる脅しの1つであり、怪我をするような接触を防ぐためのものである可能性が示唆されている(Clarke 1995)アフリカチュウヒでは、この行動は繁殖開始の直前から見られ、ヒナの独立する頃には減少する(Simmons 2010)また、アフリカチュウヒでは足下ろし行動の89%は同性内で見られた(Simmons 2010)

    (上の個体が、下の個体に対して足下しをしている)


4.警戒音

 侵入者が飛来すると、「ミビャア、ミビャア」と聞こえる声で鳴く(平野 2005)他にも、「ピィーヨ、ピィーヨ」や「ピュー」のように聞こえる声を発する。
 飛びながら発することもあれば、地上などに止まった状態で発することもある。


5.その他

 ・「ミュア」と聞こえる声で鳴き、脚を出しながらジャンプを繰り返す(先崎 2015)。
 ・地上に降りている相手に対して、同じく地上に降りた状態で羽を半分ほど開き、尾羽を目いっぱい広げて、相手に見せつけながら横にゆらゆらと揺れる(先崎 2015)。




種間での排他的行動

 
他種からの縄張りの防衛行動は、3月下旬の造巣期から、ヒナが営巣場所を離れ始める7月初旬まで見られたとの報告がある(日本野鳥の会岡山県支部 2002)造巣期から抱卵期はオスが、育雛期は雄雌共同で防衛を行なっていた(日本野鳥の会岡山県支部 2002)。なお、他種への警戒は100〜200m離れると見られなくなるようであり(西出 1979,日本野鳥の会岡山県支部 2002,多田ほか 2010)、巣の距離から平均すると約190〜340mだったとの報告もある
 ただし、チュウヒの他種への排他的行動は繁殖とは関係なく見られることも多い。


 種間での排他的行動は攻撃行動が主であり、追跡飛行・追い出しのような行動や、縄張り侵入時の警戒音もまれに見られるが、足下ろしは見られない。
 攻撃対象の多くはトビ(西出 1979,日本野鳥の会岡山県支部 2002, 多田ほか 2010,市川ほか 2011,環境省自然環境局 2015)で、他にカラス類(ハシブト・ハシボソ)(日本野鳥の会岡山県支部 2002, 多田ほか 2010,市川ほか 2011,環境省自然環境局 2015,多田 未発表、ノスリ(市川ほか 2011,環境省自然環境局 2015オオタカ(日本野鳥の会岡山県支部 2002,環境省自然環境局 2015ハイタカ(多田 未発表)ハヤブサ環境省自然環境局 2015、コチョウゲンボウ(多田 未発表)、ミサゴ(多田 未発表)、ハチクマ(多田 未発表)ハイイロチュウヒ(多田 未発表)、オジロワシ境省自然環境局 2015)アオサギ(日本野鳥の会岡山県支部 2002)、カルガモ(若杉 1982)がある。
 逆にチュウヒがカラスや猛禽類から攻撃行動を受けることもしばしばあり、前述以外のものではミヤマガラス(多田 未発表)、チョウゲンボウ(環境省自然環境局 2015)ケリ(若杉 1982)、タゲリ(多田 未発表)、ウミネコ(多田 未発表)ユリカモメ(多田 未発表)、キジ(多田 未発表)からモビングを受けることもある。



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