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行動圏と縄張り



要約

 
チュウヒは採餌などのために数キロほどの移動を行うことがあり、広い行動圏を持っている。一方で、越冬期には集団ねぐらを形成するなど、複数羽が接近した状態で生息していることもある。そのため、越冬期には明確な縄張りを持たないこともあるが、自分の餌場に近づいてきた相手に対しては排他的行動を行う。一方、繁殖期には巣を中心に縄張りを持つが、排他的行動の発生は繁殖初期を除いて少ないようである。




行動圏

 
チュウヒが狩りをするためには、餌が豊富に存在すること以外にも、狩りに適した植生環境が必要となる。そのため、チュウヒは採餌に適したいくつかの環境を巡回あるいは転々としながら移動していく。

繁殖期

 
繁殖期のチュウヒの行動圏は巣を中心に形成されており、基本的には巣から近い場所で採餌を行う。しかし中には、巣から5km離れたところでの採餌も観察されている(西出 1979)
 行動圏の面積としては、北海道ではMCP法で5884ha、固定カーネル法で1041haだった例があり(中山ほか 2010)、他には北海道のオス5羽についてカーネル法で平均7050haだった例がある(Eduence Field Production 2011)。
単純に生息地の面積だけで考えた場合、岡山県では約500haに1つがい、青森県では約737haに3〜4つがいが、繁殖に成功した例がある。このように繁殖地によって行動域の面積が異なるのは、餌資源や採餌環境などの影響によるものだと思われる。
 なお、ヨーロッパチュウヒでは、狩りの範囲はオスで250〜680ha、メスで80〜370haだったとの記録がある(Clarke 1995)また、繁殖ステージごとに見ると、求愛期には217ha、抱卵期には170ha、育雛期には1112ha、巣立ち後期には310haだったとの記録がある(Clarke 1995)
 育雛期にはヒナへの餌の供給量が増えることから、それに伴ってチュウヒの行動域が広がるものと思われる。

  

越冬期

 
越冬期のチュウヒは採餌場所とねぐらの間を往来し、茨城県では餌場とねぐらの間を往復30km移動した1例がある(中山ほか 2010)
 茨城県での越冬期における行動圏は、MCP法を用いると36806ha、固定カーネル法を用いると4050haだった(中山ほか 2010)。一方、栃木県ではMCP法で350haだった例がある(遠藤 2008)。ただし、ねぐらから採餌環境までに距離が離れている場合には、見かけ上の行動圏は広くなるため、前述の行動圏がすべて採餌環境というわけではない。
 単純に生息地の面積だけで考えた場合、岡山県では約500haに3〜5羽が採餌環境とねぐらの両方を持っていた例がある。
 目視観察による印象では、越冬期に縄張りを持っている個体は行動域がそれほど広くないが、縄張りを持っていない個体は行動圏が広くなっているような印象を受ける。ただし、縄張りを持った個体でも、縄張りから4km以上離れた場所に採餌に出かけることもある。




縄張り

 
チュウヒの縄張り争いは同性で行われるのが大半で、直接攻撃しあうことはまれである(中川 2006)ただし、越冬期には性別に関係なく排他的行動が起きており、排他的行動の優劣に雌雄差は見られない(多田 未発表)
 チュウヒの縄張り意識は、巣の近くや、よく使う止まり木の近くで強く見られる。一方で、自分の縄張りから離れた場所では、縄張りが隣接する個体との優劣関係が逆転することも多い。

繁殖期

 2月下旬になると、他のチュウヒを追い立てるオスの行動が頻発する(若杉 1982)。他個体に対して排他的行動で優位を示す個体ほど、繁殖ディスプレイのひとつである波状飛行をする傾向がある(多田 未発表)。これらのことから、越冬期後期には繁殖に向けた縄張りが形成されていると思われる。
 つがい形成前から、つがいになるオスとメスの行動圏は重なり合っているようで、つがい形成後も全く同じ場所で採餌するわけではないが、行動圏の大部分は重なり合っている。
 各つがいは巣を中心に餌場を兼ねたテリトリーを形成しており、大阪府での観察では、つがい間で明らかに行動圏を分けて行動していたとの報告がある(納家ほか 2007)。繁殖期における同種間でのテリトリー意識はそれほど強くなく、互いの行動圏が重なり合った場合にも、あからさまな警戒行動を取ることはあまりない(多田ほか 2010)。ただし、巣の上空に他個体が近づいた時には、攻撃行動などの明らかな排他的行動を行う。

越冬期

 石川県では12月頃から縄張りを防衛する個体が見られるとの報告があるが(中川 2006)、岡山県では越冬期を通じて同種間での排他的行動が見られる。
 各個体の行動圏は大部分が重なり合っているが、その中に高頻度に利用する採餌場所を持っていることが多い。個体によっては特定の場所に執着して他の侵入個体を追い払うことも多く、採餌環境の条件などによっては縄張り意識を持って行動するようである。筆者の感覚的には侵入者が縄張り個体の400m以内に近づくと排他的行動をしはじめる傾向があり、このことから縄張りの範囲は直径が400〜800mほどであるのが一般的と思われる。ただし、力関係が拮抗する隣接縄張りの個体とは最短で200mほどの位置に互いの止まり場を持つことがあり、巣間距離から考えても200〜300mというのがチュウヒのパーソナルスペースの目安になると思われる。なお、縄張りから離れたところに採餌に出かけた際には、縄張り主が長時間に渡って縄張りを留守にすることがある。栃木県の渡良瀬遊水地では、低頻度ではあるが侵入者が他個体の縄張り内を採餌飛行していたことが報告されている(平野 2008)。


(各個体の行動圏と排他的行動の優劣)
 上:越冬地A(2013年1月6日〜2013年3月31日)  下:越冬地B(2012年1月8日〜2012年3月25日)
 期間中に長期にわたって観察された個体をそれぞれアルファベットで示し、各個体の行動圏は線で示す。
 排他的行動が起きた場所は記号で示し、白抜きの記号は排他的行動で優位だった場合を、黒塗りは劣位だった場合を示す。

 図中のRは、対象期間中に観察されたチュウヒのねぐらの位置を示す。


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